Chain〜切れない鎖〜
嫌な予感はした。
だけど、あたしは慌てなかった。

一馬がいるから。
一馬が絶対止めてくれるって分かっていたから。


だけど華は真っ青になって、その場に座り込んだ。

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

と何度も謝りながら。





あいつらに対するあたしの態度と同じ。
胸が痛んだ。
目の前の不良たちに腹が立った。

不良たちは楽しそうに華を見下ろす。
勝ち誇った目で。






我慢が出来なかった。
耐えられなかった。

だからあたしは足元に転がっている空きカンを拾った。
そして力一杯不良たちに向かって投げた。



一馬の誕生日。
一馬が投げた空きカンは直接を描き、スキンヘッドの頭に嵌まった。

だが、あたしの投げた空きカンは、放物線を描いて不良たちの前に落ちた。




全てが違っていた。
不良たちは馬鹿にしたようにあたしを見て、大声で笑った。

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