Chain〜切れない鎖〜
「好き」

一馬の顔を見ると、今まで言えなかった言葉が飛び出してくる。
自分でもびっくりするくらい。

「あたしは一馬が好き」



身体がふわっとした。
太陽みたいないい香りがした。
そして身体全体に、仄かな重みを感じた。




何が起こっているのか分かるまで、数秒かかった。

あたしの顔の斜め上には一馬の顔があり、あたしの背中にその大きな手が回されている。
破裂するほど高鳴る鼓動の中、一馬の声が聞こえた。

「離さねぇからな」

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