鏡の中のアタシ。
「はい、おしまい♪♪」
里菜の目が、段々涙目になってきたことに気付いた美緒は、満足気だ。
逃げ回っていた足を止め、振り返り手をあげ降参のポーズを作った。
かなりはしゃいだ2人は、家の中なのに肩で息をしていた。
2人で顔を見合わせて笑った。
「今お茶入れるから。」
里菜をテーブルに座らせて、美緒はキッチンに向かった。
「美緒…、ありがとう。」
美緒からの返事はない。
むしろ、聞こえていたかもわからない。
だけど、お茶を手にテーブルに戻った美緒は、里菜のおでこをはじきながら
「バーカ☆」
って一番優しい顔して言うもんだから、きっと聞こえてたんだって思った。
リビングには、この日も、まぶしいくらいの陽射しが射し込み、2人の笑顔を照らしていた…。