鏡の中のアタシ。
「…久しぶり…でもないか。一瞬気付かなかったよ、そぉゆう格好もするんだね?」
待ち合わせ時間ぴったりに、現れた雄也を、先に見つけたのは里菜だった。
空気が悪くならないようにか、明るめのトーンで、へたくそな笑顔を作りながら雄也が話す。
〈作り笑顔…初めてみた。〉
大好きな雄也の、本物の笑顔が見れないのは悲しかった。
けれど、一生懸命気を使ってくれてる雄也の優しさに感謝した。
些細な変化に気付くのは、里菜自身が、ちゃんと雄也と向き合おうとしたから。
もしかしたら、里菜に対してじゃなくても、今までも作り笑いした日があったかもしれない。
気付かなかったのは、ちゃんと見ようとしていなかったからかな…。
もう一回好きになりなおしたい。
無理な話だけど、里菜は雄也との時間を、出会う前からやり直したかった。