鏡の中のアタシ。
「…色々話さなきゃいけない事があります。」
「うん…、俺も聞きたい事がある。」
自分から話しださなきゃ!
と、里菜は心の中で気合いを入れなおして雄也に話し掛けた。
雄也は作り笑いをやめ、なぜかとても悲しい顔をしたまま里菜と視線を交換した。
「今までごめんなさい!」
里菜は、今までの人生の中で、一番じゃないかと思うくらい、深々と頭を下げて謝った。
本当は、来てくれなくてもおかしくないと思っていた。
だからもしも会えたら、一番最初に絶対に誠心誠意を込めて謝りたいと思っていた。
だけど………
そんな里菜を雄也は怪訝な顔をして見おろした。
里菜に一度だって見せた事ない、冷たい顔だった…。
「里菜チャン、頭あげて。」
そう言って、里菜を目の前に再び立たせる。
「…里菜チャンにとって俺は、遊びだった?」
言われた通りに目の前に立ち、話に耳を傾けた里菜に届いた雄也の声は、雄也とまったく同じ声なのに、まるで別人のように、ひどく冷たい声で聞こえた…。