赤い夏休み計画



 家から出たら、彼女がいた。

「おはようございますお嬢様」

「…あんた、そんなキャラだった?アタシただの根暗かと」

「根暗だよ。いじめられっ子だし」

 僕は下手くそなウィンクをしたが、彼女はそれを見て見ぬ振りをした。

「やり返そうとか思わないんだ」

「やればできる、けどやらないし、やれない」

 結局は、臆病者。

「お前は、その夏休み計画どうなんだよ」

「あんたが出来ないことをするのよ、敬意を持ちなよ」

「よく言うな、いじめられっ子」

「お互いね」

 どちらからでもなく歩き出していた。



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