地味なあたしと不良軍団
お約束

「依奈!!」

少年の怒鳴り声が響いた。少女はびっくりしてかけようとしていた眼鏡を落としそうになる。

「な、なあに奏くん。」
「今日、昼、俺のクラスに弁当届けに来ただろ。」

「うん、だって今日お弁当忘れたでしょ?お腹すくと思って」
黒髪の、長いお下げ2つを払い、依奈は言った。

「つぎ、余計な事したら殺す。」
「…うん、もうしない。」
依奈は無理やり笑った。奏は舌打ちしてリビングから出ていく。

1年前は、こんなことなかったのに。
高校になったとたん、髪を茶髪に染めてピアスをあけて、

服がだらしなくなって、
考えれば考えるほど頭痛がしてくる。

依奈はため息をついた。
「お母さん、お父さん、…あたし、もうやっていけそうにないよお…」

高校が家から遠い為に近くのアパートを借りて生活しているのだ。

もちろん、今年から入学した弟も一緒に。
自分が地味な事は認識しているが、ここまで弟に嫌われるとは思ってなかった。
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