地味なあたしと不良軍団

「え、一時間目から体育!?」
依奈は思わず声をあげた。冗談じゃない。
体育は嫌いなのに。

「依奈、運動神経いいのに。いっつもやる気ないよね。」

恵美の言葉に依奈は俯く。
「…中学のとき、色々あったから」
「ああ、ブスのくせに運動できるのかよって言われたからでしょ?」

そう言えば依奈は思い出したらしい。
涙をためて恵美を見た。

「大丈夫よ」
恵美は依奈の頬に触れた。
「あんたは十分可愛いわ。」
「恵美ちゃん…。」

バシン!
丁度その時に、教室の扉が勢いよく開いた。
驚いてクラス中が注目する。

佐藤悠真だ。

「…みてんじゃねえよ。」
凍りつくような冷たい言葉に全員が肩を震わせた。
シンと静まり返る教室。
担任が来て、SHが始まるまでその空気は変わる事はなかった。

「…。」
言葉はないが、依奈は視線が突き刺さっていると感じていた。

丁度斜め後ろ。
机に足をのせて、ガムを噛んでいる。
視線の犯人が佐藤悠真だと分かった。
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