地味なあたしと不良軍団

*
「薫じゃん、お前何してんの?」
高校三年生、サッカー部の佐藤 悠真(さとう ゆうま)が薫に話しかけてきた。

同じ部活で、一応先輩の彼に薫は笑う。
「…かなり可愛い子見つけたんや。」
「ふうん。…誰?」
悠真は敬語を嫌う。

そのために薫は敬語を使わなかった。
悠真は高校の中で結構な有名人だ。

短気、ケンカっ早い。
耳についている大きなピアスと金髪に目を奪われる。

「幾多依奈。」
「…、同じクラスか。あんなブスの何処がいいんだよ?」
「良く見てみ?…あ、オレこっちやで行くわ。」

反対側の校舎を見て、薫が言う。
悠真は最近、学校生活がつまらないと感じていた。

幾多依奈。

面白い玩具になれば良い。今日、1日様子を見てみる事にしよう。

女には興味を示さなかった薫が言うくらいなのだ。

絶対何かあるだろう。
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