地味なあたしと不良軍団
「お母さんとお父さんは今日は仕事で帰ってこないから」
「そ、そうなんだ…」
本当にいいのかな、と思ってしまう。
「夕飯どうすんの?」
「作るしかないでしょ」
恵美は立ち上がりキッチンに移動した。
「あ、あたしも手伝うよ!」
慌てて恵美の後を追う依奈に首を横にふった。
「お客様なんだから、ゆっくりしてて」
「…うん、」
すとん、とソファに座り直す。
隣に座る大地はテレビに視線を向けながら依奈に問いかけた。
「幾多サン、」
「なあに?」
「俺のこと、好きになれる?」
聞き間違いかと思った。
急な言葉に依奈は焦る。
「えと、そのっ…ど、どういう意味で?」
「そのままだよ」
ピ、
チャンネルをかえた。
「…わからないよ」
「そっか」
ピ、
大地がテレビをオフにし、依奈を見る。
「じゃあ、強引にいくから」