地味なあたしと不良軍団

「おはよ…」
「なんでいるのよ」
「依奈の迎え。別にいいだろ」

恵美の言葉を軽く流して、微笑み依奈を見る。

「一緒に学校行こう?」

普段の彼からは想像できないくらいの優しい笑みに顔を真っ赤にしてこくこくと頷く。

恵美も初めて奏の笑顔を見たらしい。
顔を真っ赤にして固まっていた。

大地は面白くなさそうな表情で奏を睨む。

「…幾多奏」
「あ、同じクラスの…」
「大地って呼んでくれ」

よろしく。

何を企んでいるのか、一瞬にして愛想笑いに変わった。

「うん、よろしく」
奏も笑った。

(奪ってやる)
(てめぇに依奈は渡さねえよ)

心の中では敵対している二人。それに気付かない依奈と恵美は朝食を急いで食べている。








*
「もっと早く!遅れる!」
「あーうっせえなあ!恵姉黙ってて」

大地の自転車の後には恵美が乗っている。
一方、奏の自転車の後に乗る依奈は幸せそうだ。
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