地味なあたしと不良軍団

「けど、親友なんだろ。」

奏は微笑んだ。
依奈が恵美の話をよくしていたのを覚えている。


「薫!」

恵美はハッとなり彼の名前を呼んだ。

奏が勇気をくれた。

依奈を気にして、薫に構うのは少し気が引けたが今はそんなことはない。

はっきり言おう。
言いたい。


「薫が好きです。」

秋はなんとく恵美の気持ちを理解していたようでヒュウ、と口笛を吹いた。

奏は薫の背を押す。


「…なんでや?」
「え?」

「ひどい事したやろ。思わせ振りな行動とか…」

あきらかに彼は戸惑っていた。

「好きに理由はいらないでしょ。…べつに付き合ってとか言うんじゃないから、」

気にしないで、と続けようとした時に薫に抱き締められた。

「…忘れさせてくれるんなら、付き合ってあげてもええで。」

依奈を、忘れさせて。
もう、自分には勝ち目は無いのだから。

「……うん。」
< 167 / 178 >

この作品をシェア

pagetop