地味なあたしと不良軍団
「けど、親友なんだろ。」
奏は微笑んだ。
依奈が恵美の話をよくしていたのを覚えている。
「薫!」
恵美はハッとなり彼の名前を呼んだ。
奏が勇気をくれた。
依奈を気にして、薫に構うのは少し気が引けたが今はそんなことはない。
はっきり言おう。
言いたい。
「薫が好きです。」
秋はなんとく恵美の気持ちを理解していたようでヒュウ、と口笛を吹いた。
奏は薫の背を押す。
「…なんでや?」
「え?」
「ひどい事したやろ。思わせ振りな行動とか…」
あきらかに彼は戸惑っていた。
「好きに理由はいらないでしょ。…べつに付き合ってとか言うんじゃないから、」
気にしないで、と続けようとした時に薫に抱き締められた。
「…忘れさせてくれるんなら、付き合ってあげてもええで。」
依奈を、忘れさせて。
もう、自分には勝ち目は無いのだから。
「……うん。」