地味なあたしと不良軍団

美男美女


その後、いつもより奏と多く会話できた事に上機嫌になった依奈は悠真の事などすっかり忘れていた。

二時間目が終わり、教室へ戻るとなぜか女子の視線が嫌なくらいに突き刺さる。

(…?)
何が起きたか全然分からない依奈は気にしないようにして席に戻る。

恵美の姿を探すが見当たらない。
どこかに行っているのだろうか。

「おい、ブス」
びくり、

悠真の声に振り向けば、急に肩を抱かれた。

「放課後、待ってろよ?」
「え?」

なんで?どうして?
話が読めない依奈はキョトンとすると悠真は可笑しそうに笑った。

「なんであんな地味なこが悠真くんと付き合ってるわけ?」
「信じらんない!」

生徒の声に目を見開く。
自分は付き合った覚えもない。関わりたくもないのに。

佐藤悠真は、柄は悪いが顔は良い。
そのために結構人気があるのだ。

「あ、あたしっ、付き合ってない…」
「とにかく、放課後待ってねえと潰すから」

まるで奏みたいだと思ってしまった。
いや、それ以上かも知れない。
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