地味なあたしと不良軍団

ストーカー



「ってかさー、なんで薫はさっき指輪買ってたんだよ?ペアならまだしも一個だけ。」

結局、二人のデートではなくなってしまった。恵美に罪悪感を感じながら並んで歩く。

「あ~…あれな、奏ちゃんにあげよう思て」
「は?奏!?お前結婚でも申し込むのかよ」
「阿呆、違うわ」

驚く秋に薫はチョップをすると説明しだした。

「彼女が居ます、って嘘をつくためや」
「なんでそんなこと必要なんだよ?」

「奏ちゃんに聞いてみ。あ、笑ったらあかんで。殴られるさかい…な?恵美ちゃん」

急に恵美に話をふった薫。
彼女は思い出したかのように声を殺して笑った。

依奈はきょとんとして恵美を見る。

「ま、とにかくオレ等行くわ。依奈ちゃん、また明後日な。」
「へ?、あ、うん」

薫は恵美を連れて慌てたように行ってしまう。
恵美はこちらを見て、また電話して言うから!と言った。

「…ヒマだし、家行っていい?奏のことも気になるし!」
「う、うん。いいよ」

「決まり!」
秋は自然に依奈の手をとって歩き出す。
拒む必要もないために、彼女は気にせず足をすすめた。
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