地味なあたしと不良軍団

「…ええっ!?」
「地味ブスにできるわけねーだろ」

冷たい言葉に依奈は俯く。秋は面白くなさそうな表情で奏を見た。

「…素直じゃないなあ、奏。」
「俺はいつでも素直だ」

「…キミももう少し可愛いかったらなあ…」
冬木がぶつぶつと何かを言っている。
彼は素顔を知らない。

「?」
「知り合いの、時給がいいとこ紹介してあげるのに。」
「依奈、シカトだシカト」

奏は話しを聞くな、と依奈に言う。
しかし時給がいいバイトという言葉に反応していた。

「あたし…奏くんがバイトだめっていっても、するからね」
「…そうかよ」

これ以上何を言っても駄目だと思った。奏は口を閉じる。

依奈はさっそく電話しようと店の電話番号を調べた。

「で、奏はどうすんの?」
「…時給高くて、儲かるとこ」
「僕がさっき紹介した店は時給1200円だけどぉ?」

「…マジかよ」
金のためだ。
多少なら我慢しようと思う。

「奏、もしかしてやる気か?」
「…しょうがねえだろ。」

ちらりと、もう一度バイトの求人誌を見た。

【執事カフェ
アルバイト募集!対象年齢16歳~の方。】
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