砂のお城
当たり前に、一緒に学校へ行く。

当たり前に、一緒に家へ帰る。

それは、苦痛なんかじゃなく、当たり前のことで。

今考えると、幸せだったんだと思う。

けれど、成長するにつれて、俺は優花と一緒にいることが恥ずかしくなった。

男友達と遊ぶことを優先させ、

一緒に帰るのをやめた。

けれど、優花は、何も言わなかった。

何も言わずに、俺のそばから離れていった。

そして、二度と、俺を起こしに来ることもなくなった。

ひとりで、学校へ行くことが、

優花が隣にいないということが、

自分にとって、あまりに悲しかった。

自分のしたことが取り返しのつかないことだと気付いた時には、もう遅かったのだ。

優花は、遠くへ行ってしまった。
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