砂のお城
私たちは、当たり前のように一緒にいた。

共働きだった私の両親にかわって、私の面倒を見てくれていたのは晴のお母さんだったから。

学校でも一緒。

家に帰っても一緒。

私はそれで幸せだったけど、きっと晴は違ったんだと思う。

それまで、晴は男の子と遊びにいったりすることはなかった。

私がいたからできなかったんだと後で気付いたんだけど。

私の存在が、晴の邪魔をしている事実に当時は目を向けたくなくて私は知らないふりをしていた。

けど、あの日。

晴が私をおいて先に帰った日。

男の子たちと遊びにいったと知って、

私はもう晴のお荷物でしかないのだとわかった。

晴と別れるのがきっと、彼のために一番いいことだと子ども心にそう思ったのだ。

だから、私は晴のそばから離れた。
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