蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
病院では風邪の症状が診られず、偏頭痛ではないかと診断された。


結局鎮痛薬を出され病院をあとにする。


病院からの帰り、案の定付けられていたが今度は立ち止まったり、振り返ることはせずに帰宅した。


ずっと付いてきていた足音は玄関前でピタリと止み、家の中までは付いて来ることはなかった。


その夜。


頭が痛くとも勉強は欠かさない誠は机に向かっていた。



(今日は早めに切り上げるか…。)



頭痛を悪化させないためにいつもより早く勉強にきりをつける。


その時、背中に突き刺すような冷たい視線を感じた。


昨晩感じた視線とはまた少し違う感じだ。


誠は勢い良く振り返る。


だが誰もいない。


静かな部屋にやけに秒針の刻む音が響く。


首を傾げながらもそのままベッドに入り眠りについた。
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