蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
誠は結局、その日一日ずっと頭を抱えたまま授業を受けた。


頭痛は悪化しなかったものの、体が重いせいで何となく億劫な一日となってしまった。


更にたまたま塾の日でもあり、行くか行くまいか悩んだが、保健室で体温を計ってみるとやはり平熱。


熱はないのだからと思いそのまま塾へ行った。


その帰り。


しっかり付けられていた。



(体の調子は悪いし、後は付けられるし…最悪だな。)



何だか一々構うのも面倒なので普通に歩いて帰ることにした。


歩きながら足音に耳を傾ける。



(本当にピッタリだな…)



薄気味悪さを感じながらも感心してしまう。


それからしばらくして、ふとあることに気付いた。


今までは気付かなかったが、ずっと付けている足音がたまに途切れるのだ。
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