ショーウインドー
「そうだな…君たちの言う通りだよ…」




マネキンに話しかけた男は窓掃除用のワイパーを取り出し
洗剤液につけ



ショーウインドーを磨き始めた。



「そうだな、まずやれることから始めよう。
店が汚れていたら来る客も来なくなってしまう。



まず…やれることからだ…」




男は狭いショーウインドーの中に入り
何かを振り払うかのように黙々とショーウインドーを磨く。





深夜の街並みが外に広がる。




月明かりと街並みが溶け合ったその風景を
美しいと思える心の余裕を


男は少し取り戻しつつあった。
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