地下
ここに居る誰か


あれからどの位の時間が経ったのだろうか。


外の光が刺さないこの暗闇は時間の感覚を麻痺させていた。


「ここで行き止まりのようね」


紗絵子は辺りをライトで照らし、特に何も無いことを確認すると元来た方へと足を向けそのまま歩き出した。


愛華もそれに続く。


ガサッ


愛華は足下にある何かに触れた。


「?…先生ちょっと待って下さい」


その場にしゃがむと何かを掴む動作をした。


「ライト当ててもらっていいですか」


愛華の手元へとライトが移動する。


手には一枚の紙が握られていた。


「ノートの切れ端?」


「何か書いてる、――ごめんなさい…あんな事しなければ良かった…――、殆ど消えて読み取れたのはこれだけですね」


「手紙かしら?これがあるって事は誰かが居たみたいね」
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