地下
「そうだな」


そう言うと、徹は警備センターに繋がるボタンを押した。


「すいませーん、エレベーターが止まってしまったのですが」


応答は無い。


何度か試みるものの、状況は変わらなかった。


「どうします?」


「まー、エレベーターでいけるって事はどこかに出口はあるんだろうけど…」


紗絵子と徹は冷静さを保とうとしていた。


その横で愛華はわからない恐怖に怯えていた。


「寒い…」


その言葉に紗絵子が駆け寄る。


「大丈夫、地下だから寒いけど直ぐに出口は見つかるわよ」


やはり年上、冷静さは断然上だった。


「よし、ここに居ても仕方がないから出口を探しに行こう」


玄関を確認するために懐中電灯を持ち合わせていたのが不幸中の幸い。


一つは紗絵子が、もう一つは徹が手にする。


何も言わず、愛華の手を取ると紗絵子は歩み出した。
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