地下
地下
永遠に広がる闇。


この地下には電気は通っていないようだ。


エレベーターの明かりから離れた途端、一気に自分が闇に呑み込まれてしまったのではないかと不安になる。


それと、この寒気。


背筋がゾクッとするような寒さ。


地下が寒いからでは無い。


得体の知れないモノがすぐ傍にいるような感覚。


考えたくもない。



見たくもない。


それが何かなんて…


必死に前を向いての小さな抵抗。


出口が見つからなければ、この状況を回避する事なんて出来ない。


思わず手に力が入る。


握力が差ほど無い愛華の手は紗絵子の手をギュッとした。


「それにしても、この学校に地下があったなんて驚きですよね」


紗絵子は未だにこの奇妙な現実を飲み込めていないようだった。


「あるはずないんですよ…」


徹は何かに怯えるようにそう言った。
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