桃太郎【Gulen】
「それも、時が解決してくれます。父を助けてくれたこと、スサノオウに変わり、愚息、ヤマトタケルが変わって、お礼を申し上げます。」
桃太郎は、オロチに向かって深々と頭を下げた。
「ただの気まぐれよ。スサノオウにあったら、コレを渡しておいてくれ。そして、こう伝えるがいい。『俺のところに来るときは、良い酒を美味い魚をもってこい』・・・と。」
「はい、必ず。」
オロチは、桃太郎に向けて釣竿を投げつける。
至上の宝。オロチの形見。
そして、ヤマタノオロチは、森の中へと姿を消す。
その瞬間、ヤマトタケル・・・桃太郎は、父の命を果たしたのだと、理解した。
「さぁ、帰るぞ。皆の衆!」
桃太郎は、踵を返す。
鬼が消えたことを、出雲に大和に、京に浦島仙人に報告せねばならぬ。
空を見た。
雲ひとつない良い天気だった。
帰ったら、種まきは終わっているだろう。
そしたら、草むしりをしなければならない。
良い季節が今年も始まろうとしていた。