かえりみち
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誰が持って行っちゃったのかしら。
幸一さんのベッドの下にまとめて置いておいた洗濯物が、そっくりなくなっていた。
泥棒?
・・・幸一さんのパンツなんか、欲しい人いるのかしら。
コアなファン?
それとも、もしかして・・・
由紀子は一つの可能性を確かめるために、病院の屋上に上がっていくところ。
昼下がりの屋上には日差しが降り注ぎ、心地よい風が吹いている。
病棟の中とは違う、ゆったりとした時間が流れていた。
向こうの物干し竿に、風に揺れるしわくちゃのタオルが見える。
そして、しわくちゃのパンツ。
そして、しわくちゃのタオル。
その隣に卓也がいて、次のしわくちゃを竿にかけようとしている。
やっぱり。
「葛西君!」
「!!○×△□×○△!」
・・・驚きすぎよ。
「今日はリハーサルは?明日でしょ、本番」
「えぇ、でももう終わりました。今日はもう弾くの禁止って、コンダクター・ストップがかかりまして、暇になっちゃったんです」
「そう。井上さん、あなたの体のこと、心配してたから」
・・・それにしても、この洗濯物、随分しわくちゃだわねえ。
「・・・すみません。洗ったらこんなになっちゃって」
由紀子は、無意識に自分の手がタオルの裾を引っ張っていたことに気づいて、慌てて手を引っ込めた。
「ごめんなさい!主婦って嫌ねぇ」
誰が持って行っちゃったのかしら。
幸一さんのベッドの下にまとめて置いておいた洗濯物が、そっくりなくなっていた。
泥棒?
・・・幸一さんのパンツなんか、欲しい人いるのかしら。
コアなファン?
それとも、もしかして・・・
由紀子は一つの可能性を確かめるために、病院の屋上に上がっていくところ。
昼下がりの屋上には日差しが降り注ぎ、心地よい風が吹いている。
病棟の中とは違う、ゆったりとした時間が流れていた。
向こうの物干し竿に、風に揺れるしわくちゃのタオルが見える。
そして、しわくちゃのパンツ。
そして、しわくちゃのタオル。
その隣に卓也がいて、次のしわくちゃを竿にかけようとしている。
やっぱり。
「葛西君!」
「!!○×△□×○△!」
・・・驚きすぎよ。
「今日はリハーサルは?明日でしょ、本番」
「えぇ、でももう終わりました。今日はもう弾くの禁止って、コンダクター・ストップがかかりまして、暇になっちゃったんです」
「そう。井上さん、あなたの体のこと、心配してたから」
・・・それにしても、この洗濯物、随分しわくちゃだわねえ。
「・・・すみません。洗ったらこんなになっちゃって」
由紀子は、無意識に自分の手がタオルの裾を引っ張っていたことに気づいて、慌てて手を引っ込めた。
「ごめんなさい!主婦って嫌ねぇ」