かえりみち
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講堂を気にしている安川が、はっとした。

講堂から、卓也がチェロを抱えて飛び出してきたのだ。

終わったんだ。

しかしその表情は険しく、卓也は口を一文字に結んだまま、背を向けて足早に歩いていく。

その様子に、安川はなんとなく結果が分かってしまった。

卓也を追って、春樹が出てくる。
教室の中の安川に気づくと、両手でバツのポーズを作った。

そうか。やっぱり、だめだったか。
安川は、誰にも気づかれないようにそっとため息をついた。


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