さよならさえも言えなくて
そこでふと気が付いた。
あたし、凄く無神経な事をしているかもしれない。
彼は1人になりたかったんじゃないだろうか。

勝手に入って来たりして、図々しいにも程がある。


「成塚?」


突然名前を呼ばれて左を見ると、すぐそこに彼の顔があった。


……近い。

あたしは隣に座った事を少し後悔した。


「な……何?」


「なんか辛そうな顔してたから」


自分では気付いていなかったが、きっと心配される程険しい表情をしていたのだろう。

しかもこんな至近距離で顔を見られるなんて、こんな事になるなら昨日眉を整えておけば良かった。


「いや、あの……話してるのが辛いとかじゃなくて……
椎名君1人になりたかったのかなぁと思って。

あたし、勝手に入って来たりして無神経だよね。ごめん」
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