さよならさえも言えなくて
「いや、全然そんなんじゃねぇから!
誰かと話したい気分だったし。嫌とか思ってねぇから。
それに、やっと成塚と話せたしな」


そう言って彼はニコリと笑った。


やっぱり、好き。

その時あたしはそう思ったんだ。


「そうだね」


あたしも笑って彼の目を見た。
彼の目は、いつもより少し腫れているように見えた。


もしかして、泣いていたの?
何があったの?


そんな疑問が頭に浮かんだが、決して口にはしない。
あたしと彼はただの友達。
一方的な気持ちは、相手にとって負担になるだけなのだから。


「俺さ、いっつも成塚のメールに励まされてた。
成塚さ、俺が元気ない時俺が何も言わなくても気付いて、何も聞かずにただ励ましてくれるじゃん?」


彼はあたしのお節介にも似た励ましを、ちゃんと受け止めていてくれた。
そう思うと、なんだか嬉しい様な恥ずかしい様な、不思議な気持ちになった。


「それが凄く嬉しかった。話した事もない俺の事を心配してくれてさ、本当ありがとな」
< 11 / 36 >

この作品をシェア

pagetop