Memory's Piece
「・・・置いてきた」
「そっか。」
うーさんって言うのは、桃亜姉特有の波狼を呼ぶときのあだ名だ。
波狼の狼を英語にしてその頭文字のWolfの頭文字で波狼を呼んでいるんだ。
言葉少なに答えるボクに怒ることなく桃亜姉は、野原を跳び舞う蝶と戯れる。
何も言わずに傍にいてくれることがどんなに助けになるか、桃亜姉は分かってるのかな?
「桃亜姉、何にも聞かないの??」
「みーちゃんが話したいときに話してくれればいいわ。」
試しに聞いてみれば、予想通りの返事が返ってきてなんだか少し笑えた。
ぎゅっと目を閉じれば、微かな蝶の羽ばたきや風のそよぐ音、桃亜姉の口ずさむ歌が緩やかにボクを包み込んでいく。
穏やかな時間。ほんのささやかな
幸せの時間。
のんびりとした時間に心を癒されながら
「揚羽、まだら、何を持ってきたの??」
うとうとと眠りかけたころ、桃亜姉の不思議そうな声が聞こえてボクは頭を上げた。
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