Memory's Piece

よくよく目を凝らして見れば、零一は守った(らしい)男に駆け寄り何やら言いながら執拗に絡み付いている。

鎖骨をチョンッと突く仕種なんて、端からみてるとかなり気持ち悪い。


「ちょっとレーイチ、何してんの?」


「このバカネコ!レイって呼びなさいって言ってるでしょ!?」


今更名前をレイにしたところで、性別が変わる訳ではない。むしろ、キショイ。

源氏名か。アホか。

なんて罵倒、ボクはしない。

紳士だからね。


「また男に抱き着いてんの?」


人間なんかに抱き着いて何が楽しいのかと肩を竦めると、ギッとすごい眼光で睨まれた。

ボク何も間違ったこと言ってないんだけど。

一体どんなやつが零一の毒牙にかかったのかと顔を拝もうとして、視線をやったボクはあれ?と目をしばたかせた。


「・・・・・・あれ?頼兎?」


さっきの匂いが嗅ぎ間違いじゃなかったことは分かったけど、何故こんなところにいる。

パチパチと瞬きを繰り返すボクに頼兎は


「魅稀・・・・!!」


とボクの名前を呼んだ。

『あら?知り合い?』と零一がボクに目配せをするのとボクが頼兎を蹴り飛ばすのはほぼ同時。

手が血で染まってたし怪我してるっぽかったから多少手加減をして・・・・・だ。


「・・・・・ぃってぇ!!」


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