Memory's Piece
「うげっ、まずっっっ!!」
予想通り盛大に顔をしかめて悲鳴を上げる頼兎の頭を頭蓋骨を握る勢いでわしづかみにして、ボクは晴れやかに微笑んだ。
「お礼は?」
「・・・はぁ?・・・・なんの」
荒い息の合間から吐き出すようにして言葉を紡いだ頼兎はボクを責めるように強く睨みつけて来る。
「怪我、治してやっただろ。」
「・・・・・もっとまともな治し方があったんじゃ・・・」
「なに?ごめん、聞こえなーい」
グッと手に力を込めながらニッコリすると「すんません。ありがとうございました」と頼兎は瞬時に顔を青ざめさせながら消え入りそうな声で囁いた。
「よく出来ました。人間、素直が一番だね」
右手を離してやると、頼兎は大きく息をついて頭を摩った。
よっぽど痛かったのか少々涙目なところがまた虐めがいがあって面白い。
「ミケは乱暴ね。大丈夫?イケメンボーイ」
「えっ、あ・・・・ありがとうございます」
「は、何。頼兎がイケメン??零一の目腐ってるんじゃないの?」
「馬鹿言わないでっ。アタシの審美眼はかなり確かよ。」
「どーだか。」
「顔っ!顔が近いっす!!てかアンタ誰!?」
悲鳴に近い叫びだ。
ひぃっと後ずさる頼兎と傷付いた表情を浮かべてみせる零一にツボをくすぐられてボクは噴き出した。
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