Memory's Piece


「うーくんはみーちゃんのこと好き?」


「・・・直球ですね・・・。」


人混みから外れたベンチに腰掛ける私を守るようにしてすぐ横に直立不動で立つ波狼君は私の言葉に淡く苦笑した。

優しい黄色の瞳が私を捉えて微かに揺れる。


「私はね、みーちゃんが大好きよ。あの子はとても強くて優しいもの。」


「強くて優しい・・・ですか」


「そう。沢山の事を一人でしょい込んで、泣き言一つ言わないのよ、あの子。姉としては頼って欲しかったんだけど、でも結局は私ではどうしようもないことばかりだったんだけど」


突然なにを語りだしているんだろうかと波狼君は怪訝そうに私を見ている。

この時の私には予感のようなものがあったのかもしれない。

無意識下の中でこのあと起こることをなんとなく予想していたのかもしれない。

そんなことなどこの時の私には想像もつかなかったけれど。


「桃亜さんは魅稀が本当に好きなんですね。」


「えぇ・・・。私の大切な妹だもの。」


「うーくん、私はね、他の人がどれだけ不幸になろうとあの子が幸せであるならもうそれだけで幸せなのよ。世界が滅んでも全ての生物がみーちゃんの敵になっても私だけはあの子の味方になるって決めてるの。」


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