Memory's Piece

ゆっくりと傾ぐ波狼の体。

それを慌てて受け止める頼兎。

高らかに笑ってボクに迫る雑魚。

全てがスローモーションに見えた。

笑えない。わらえない。ワラエナイ。


「・・・・・ふっ・・・・」


・・・・なのになんでか笑いが零れた。

世界が音をたてて崩れていく。

ガラガラと、ボクを構築するあらゆるものが。


「あはははははははははは!!」


衝動のままに大きく笑ったら、涙が零れた。

体が怒りに支配されて笑いが止まらない。

体がマグマになったように熱くなっていって、誰の声も耳に届かない。


壊れてしまえ。
全て、壊れてしまえ。


そんな感情が、怒りが、身体を支配する。




―――・・その時ふと、頭の中を疑問が過ぎった。

・・・・ボクは何に怒ってるんだろう?

熱を持つ体に反して、おかしなほどに冷静な頭がその疑問にあらゆる可能性をあげていく。


波狼を刺した雑魚に?

自分の身も守れずに刺された波狼に?

役立たずな頼兎に?


全ての答えにボクは心の中で首を振った。


違う、そうじゃない。


ボクは、ボクに怒ってるんだ。
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