Memory's Piece
ヒュンッと尾を振ってゆっくりと瞬きすると、驚愕に彩られた沢山の顔が見えた。
並ぶのはつまらなくて憎たらしい顔ばかり。
「フシャーッ!!」
全てを薙ぎ払いたくなって、ボクは群れる雑魚共に突っ込んだ。
「・・・・・ひっ!!!」
「ぐぁっ!!」
片っ端から鋭利な爪と鋭い牙で逃げようとする雑魚共を捻り潰して、ボクはグルリと首を巡らせる。
微かな音でさえも拾う耳をピクピクと動かしながら、口周りをペロリと舐めると鉄の味が口の中に広がって思わず顔をしかめた。
まずぅ・・・・。
あまりのまずさにニァ~と弱々しく鳴くと
「・・バケモノっ・・・!!」
と誰かの唸るような声が聞こえてきた。
『バケモノ』・・・・ねぇ。
聞き慣れた言葉に自嘲気味に笑ってボクはしなやかな動きで腕を振った。
吹っ飛んだ雑魚が窓ガラスに突っ込んで派手な音をたてる。
砕け散ったガラスに映るのは大きな三毛猫。
こちらをジッ・・・・と見つめる瞳にボクは何の関心もなくスッと目を逸らす。
血まみれになった腕をペロッと舐めて、ゆったりとした足どりで雑魚に近付こうとするとパリンッとガラスが砕けた。
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