Memory's Piece

砕ける小さな音が静かに響く。

その音は雑魚の恐怖を煽ったらしい。

「ひっ」と微かな悲鳴が片隅から上がった。

ガラスの破片が体に突き刺さり傷だらけになった雑魚は、気絶してもおかしくない状態で意識を奇跡的に保っていたのだ。

あぁ、そうでなくちゃ面白くないよね。

動くことも気絶することも出来ず床の上でマグロと化していた雑魚の首を優しく噛んでニンマリとボクは笑んだ。

柔らかな肉に牙が食い込む感触が、また堪らない。

生の肉を食うような趣味ボクにはないけど(血ぃ、まずいし)、この生きた肉に歯をたてるのは何とも面白く気持ちが良い。

首をくわえたまま、ズルズルと引きずりペイッと死んだ雑魚を積んだ山に放り投げてやると蛙が潰れたときのような音がした。

音っていうより声?

「ぐぇっ」とも「ぐわっ」ともつかないような変な音。

あまりにも面白い音だったからまた聞きたくなってベシベシと前足で叩いてやると何度も何度も蛙の(以下略)で雑魚はうめき声をあげた。

周りにいた雑魚の仲間達が制止の声を上げてるけどボクには関係ない。

ただひたすらベシベシと叩きつづけた。

ベシベシ

ベシベシ

ベシベシ

玩具を与えられた子供のごとくひたすら、叩きつづけているとやがて雑魚はうんともすんとも言わなくなった。

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