Memory's Piece

「あぁ、頼兎傷治してくれてサンキュな」


「いっ、いえっ。」


「こんな所ではなんですから・・・」的ノリで移動したボクらは、いま波狼の部屋。

ボクの部屋とは違って必要最低限の物しか置かれていない部屋のソファーに座って波狼と頼兎はそんな会話をしていた。

ボクは離れたベッドに寝転び、のんびりと二人の会話に耳を澄ましていたが、波狼の傷はどうやら、頼兎が治したらしいということにボクは首を傾げた。

「どうやって?」という疑問をベッドに寝そべったままの体制でクエスチョンマークを飛ばすとボクの視線に気付いて苦笑した波狼が


「最後の一個の傷薬、頼兎に預けて行っただろ?」


「ほら」と空瓶をボクに放り投げてよこしてきた。

今だに猫の姿をしたボクの前足で受け取れる訳もなく瓶はぽすんっとベッドの上に着地する。

あぁ、そういえばそんなことあったっけ。と解決した謎に呑気なことを考えながら綺麗になった体を毛繕いするボクに波狼は苦笑を深めた。

ちなみに、ボクの毛は最初みたいなサラサラのツヤツヤに戻っている。

波狼が、血だらけ&肉片まみれのボクを風呂場で洗った成果だ。


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