デスゲーム
「どうして?ねぇ、どうして?」


静かに…そっと聞こえないように一人呟く。胸がいっぱいで苦しいよ。

二人共すっごい楽しそう。黒崎さんも小さくだけど笑ってる。

いつもはしない顔。…私には見せてくれなかった。

不器用なりに頑張って接してきたけど……私には黒崎さんの笑顔は引き出せなかった。


「あんた口に出さないけど、私にはお見通しだから。フフッ」


そう言うと優菜は自分の唇に人差し指を当てた。

そしてその指は、今度は黒崎さんの唇に……当たった。


「お前……ありがとな、優菜」


笑って、優菜の頭に手を置いた。見たくない。今まで築いた何かが崩壊してゆく。これはきっと気のせいじゃない。


「ぁ……あ…」


もう見ていられなかった。私は急いで階段を降りるしかない。後ろを向いた時ドアに…足が当たっちゃった。

込み上げる想いは涙となり溢れてきてしまう。鞄をギュッと抱きしめ直し、無我夢中で階段をかけ降りた。


「どうして?優菜と…黒崎さん…両想いだったんだ。……私…バカみたい」
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