デスゲーム
「早く言ってよ。言わないと一方ではなく、二人とも傷つくよ?

……これで話す気になるかな?」


二人はポケットからナイフを取り出し、互いの首に突きつけた。


「……幻だろ。そんなことしたって…」

「今の隼人君は嘘ヘタだね。私でも見抜けるよ?」


軽くナイフが当たり、首に切れ目が入る。そこからは鮮血が…静かに…少しずつ流れた。

自分でも分かるくらい動揺してる。くそっ、幻だと分かっていても……大切な人のそんな姿は見たくない。

そんな残酷な姿…俺が耐えられない。


「言うの言わないの?さあどっち!?」

「言うよ!…だからナイフを止めろよ。




俺の一番大切な人は……雫」






ブシュ……






嫌な音と共に雫が崩れ落ちる。胸にはナイフ、沙弥の手から離れたもの。雫の倒れた周りは…みるみる赤く染まってゆく。

見たくない。目をそらしたい。だが一番大切な人の変わり果てた姿は、俺を釘付けにするのに十分だった。
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