金のピアスと銀のピアス
放課後、それぞれ部活を
終えていつもの店に行く。

今日は美術部の課題が
なかなかキリがつかず
最後に行ったのは私だった。

店内に残りの3人がいるのを
確認して

店頭で注文をする。

ふと弟達の晩御飯のおかずを
考えながら席に向かったら
帰ろうとドアに向かっていた
人と肩がぶつかった。

愛美『あ!ごめんなさい』

我に返り、ぶつかった人を見た。
いかにも社会人という感じの
スーツ姿という身なりだが
同じスーツ姿でも父と違う。

何だかいいとこのお坊ちゃん
って印象を受けた。

顔も端正でまだ20代といった
若さだった。

相手は『こちらこそ』と
ニコッと笑い、急ぎ足で出て
行った。


こんな日常茶飯事の小さな出来事が人生の歯車を狂わせる大きなことになろうとはその時の私には知るよしもなかった。
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