--







「っ!将真っ?苦しいっ」



私の抵抗を無視して、

将真は私を強く抱きしめる。



本当は、そんなに苦しくないけど

このままじゃ、心臓がもたない。



「…ごめん。」



将真が、私の耳元で囁いた。



…?


…なんで、将真が謝るの?



「…俺、実樹に嫉妬してた。

…転校してきた日から、実樹のこと忘れられなかった。

……可愛いっていうのもあったけど、

すごく、さびしそうだったから…。


でも何より、実樹って初めて呼んだときの

笑顔が、忘れられなかった。


そんで、もっともっと可愛くなった実樹を見て、

みんなが、実樹を可愛いって言った。


……平塚に、実樹が近づいてったとき、

…なんか、嫌だった。


そのときから、ほんとは、わかってたんだよな。

…心の中では。」




将真はそこまで言うと、軽く息を整えた。


「……何を、わかってたの?」


答えが待ちきれなくて、

知らず知らずのうちに私の方から、聞いていた。







< 51 / 55 >

この作品をシェア

pagetop