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「っ!将真っ?苦しいっ」
私の抵抗を無視して、
将真は私を強く抱きしめる。
本当は、そんなに苦しくないけど
このままじゃ、心臓がもたない。
「…ごめん。」
将真が、私の耳元で囁いた。
…?
…なんで、将真が謝るの?
「…俺、実樹に嫉妬してた。
…転校してきた日から、実樹のこと忘れられなかった。
……可愛いっていうのもあったけど、
すごく、さびしそうだったから…。
でも何より、実樹って初めて呼んだときの
笑顔が、忘れられなかった。
そんで、もっともっと可愛くなった実樹を見て、
みんなが、実樹を可愛いって言った。
……平塚に、実樹が近づいてったとき、
…なんか、嫌だった。
そのときから、ほんとは、わかってたんだよな。
…心の中では。」
将真はそこまで言うと、軽く息を整えた。
「……何を、わかってたの?」
答えが待ちきれなくて、
知らず知らずのうちに私の方から、聞いていた。