―White Memory―
そして、あたしたちは付き合い始めた。
端から見たら
あたしは、傷ついた心を慰めてくれた灯吾に惹かれたように感じるかもしれない。
確かにそれも一理あるけれど、それ以上に。
あたしはただ
灯吾の傍に居たかった。
――灯吾に、愛されたかった。
目覚めると、ちょうど夕日が沈む直前だった。
どうやら丸半日眠ってたらしい。
気怠い体を無理矢理起こし、カーテンを引けば、部屋一面にオレンジが射し込んできた。
それを見上げ、思い浮かべるのは案の定、灯吾のことで。
あたしたちの関係が、友達から恋人に変わったあの日。
灯吾は優しい顔で、澄んだ声で言ってくれたんだ。
『聖華のこと、絶対幸せにするから。』
ずっと傍に居るよ、って。
だけど夢から醒めたあたしに残されたのは、絶望にも近い虚無感。
そして、孤独。
夢が告白の瞬間
途切れてしまったのは、こうゆうことなのかもしれない。
あたしは灯吾と
“幸せ”にはなれない。
灯吾はもう、あたしの傍には居てくれないんだ、と。