―White Memory―


その日も朝まで飲み明かし、睡魔を引き連れて帰宅。

下駄箱の上にカギを放り投げ
乱雑にバックを床に置くと、あたしはベッドへ倒れ込んだ。



「頭、痛ぁ…。」

ズキンズキン、と脈打つように痛む頭に眉を寄せる。



ここ最近睡眠時間も削って遊び、飲んだくれてばかり。

今すぐに眠りたいけど、化粧落とさなきゃ。

その前に、二日酔いの薬を飲もう。



そう思いながらベッドから起き上がると、テーブルに出しっぱなしの薬に手を伸ばした。

と、その時。



バサバサ、と音を立て
無造作に置いてあった無数の封筒がテーブルから床に落ちる。

どうやら薬を取った拍子に肘で押してしまったらしい。


請求書やら、何やら。


「…もぉ、」

見るのが面倒で放っておいた自分がいけないんだけれど。


そのままにしておく訳にはいかず、仕方なく拾い集めると、ある一通の封筒が目に入った。


何の変哲もない、あたし宛ての真っ白な封筒。

だからこそ、何だか気になって宛名が書かれた面をひっくり返してみる。





心臓が、止まるかと思った。




< 36 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop