―White Memory―


…ねぇ、灯吾。

わかる?
あたしの気持ち。

あなたに対する、あたしの想い。



伝わってるかな。

あなたに、届いてるかな。



灯吾の気持ちは
ちゃんと、あたしに伝わったよ。


だから、心配しないで。

もう二度と
灯吾から離れたりしないから。



約束するよ。


――ずっと、傍に居るって。










…それから一年後。


半年前にリハビリも終えた灯吾は、今じゃ走れるくらい元気になって。

後遺症もなく、ケガも綺麗に治って、大学にも復帰した。



ちなみに
記憶は未だに戻らない。

でも、そんなことはもう気にならない。


それを埋めてしまうくらい、二人の思い出はたくさん出来たから。


割れてしまったモノは元に戻らないけど。

壊れてしまったら、ずっと壊れたままだけど。


取り戻せないなら
また最初から作ればいいと思う。

失くした記憶よりも、ずっとずっと素敵な未来を。



二人で一緒に
歩いていけばいいんだ。





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