愛しー時に抗うもの達ー
俯いていた顔をあげて、男の顔を見た。
男は、私に鋭い視線を向けていて、向けられた視線は深海の暗さのように暗く、冷たかった。












鋭い視線にひるんだ私は、返事が出来なかった。










「お前、何者だ…」

冷たく放たれた低い声。











さっきの出来事を思いだし、体が小刻みに震えた。
もう、何がなんだか考えられなくなって来た。


此処は何処?
前にいる男は誰?






海は、何処?あたしは、



ダレ、ナノ…?



私は、誰だか分からなくなるぐらいパニックに陥っていた。


最後に見たのは、至近距離にある男の整った顔だった。












「チッ…面倒くせぇ」



男は、鈴を抱えるとまだほんのり暗い朝の街に消えて行った―

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