愛しー時に抗うもの達ー
「…か…た……さん……だれなん……ですか?……も…………」





若い男の声がする。




まだ、生きている。

そう思うと、胸がギュッと苦しくなった。









目を開けると、視界に入ったのは少し古びた木の天井だった。



―――ここは…、どこだ?





「あっ!近藤さん、土方さん起きましたよ!」




近藤、土方…?


寝起きで重い体を布団から上半身だけ出した。



目の前には、昨日の目付きの鋭い人と、初めて見る幼い顔をした人と顔は厳ついが、優しい雰囲気を纏った人の三人がいた。

「大丈夫ですか?」


幼い顔の人が言った。

この人達の家だろうか?



世話になってしまった。


「すいません。なんか、お世話になったみたいで…」

「いいんだよっ!歳が連れて来たんだよ。礼なら、歳に言ってくれ!」


厳つい人が言った。


歳?昨日の助けてくれた人か?


「あの時、ありがとうございました。」




歳、と呼ばれた昨日助けてくれた男に礼を言った。





シャッ――










一瞬何が起こったのか、判らなかった。









私に向けられている刀の刃先。


歳と呼ばれた男は、私の喉元に刀を向けて、鋭い口調で聞いた。







「お前、名前はなんという。」



静かだが威圧感ある声音。

向けられた刃先に背中には冷たい汗が流れた。


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