愛しー時に抗うもの達ー
「中村鈴…


貴方は?」




「ククッ…俺か?





俺は土方歳三。




新撰組副長だよ。」



新撰組?

それって

私、タイムスリップ?




「おいっ!歳何してるんだ、おなごに刃先を向けて」


「そですよ土方さん!」

「黙っててくれ!今は尋問中だ…







近藤さん総司。
ちょっと部屋開けてくれ。これは、俺の仕事だ。」




「…おなごだ、殺すなよ!いくぞっ総司。」


「近藤さん?いいんですかっ」

「今は、歳に任せようじゃないか。」



そう言いながら部屋を出て行った。





まだ私に刃先を向けている土方歳三はまた聞いた。


「中村鈴、お前異人なのか?」


何度も聞かれた事。
外国人かって聞かれているんだろう。


「私は、日本人だッ!」



悔しい、身動きができない。

なぜ知らない男に刀を向けられている?


これが、自ら命を絶った報いなのか?



「威勢のいい餓鬼だ。



じゃあ、お前は長州の者か?
浪人に追われてたしな…。」



長州?

新撰組がいるって事は、幕末の京都に来てしまったのだろうか?

って事は長州藩の事だろう。新撰組の敵だ―







「私は異人でも…長州でもないッ!!」




「じゃあお前の素性を示せ」




「私は…






この時代の人間じゃない。」



「冗談はやめろ!




本当の事言わねぇと切るぞ?」





斬るなら一思いに斬ればいい。




どうせ一度死のうとしたんだから。



「本当の事だ





斬ればいいッ一度捨てた命いまさらッ!




スパーン


凄い勢いで襖が開いた。そこからは先程の二人が出てきた。



「歳、やはり刀を下ろせ。何か事情があるのだろう
嘘をついているようには聞こえなかったぞ!」


呆れ顔で渋々刀を下ろした。


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