心の距離
気になる存在
「瞬、今日も行くかぁ？」

声をかけて来たのは、近所に住む親友で同僚の秀樹。

ヒデは仕事が終わると、いつも声をかけて来る。

「ああ。風呂入ってから行くな」

高校卒業後、ハウスリフォーム会社に就職し、毎日汗だくになりながら仕事をした後、ヒデは作業着のまま毎日パチンコ店に通っている。

ヒデが通っている理由は、ギャンブル依存症でも、金目当てでも無い。

付き合って１年になる彼女を家まで送る為、騒がし過ぎるパチンコ店のスロットを打ちながら彼女を待っているだけ。

ヒデの彼女は相当気紛れらしく、その日の気分で一人で帰る時もあるらしいが、彼氏と言う立場上、毎日待ち合わせ場所に行かなければならないらしい。

「待ち合わせなら、別の場所あるだろ？」

何十回とヒデに聞いている言葉。

「アイツわがままでうるせぇんだもん。パチ屋なら聞こえない振りが通用するじゃん？どんなにメダル積んでても、投資金が倍あるって言えば良いしさ。アイツ、金持ってると集って来るんだよなぁ…買い物依存症だから。見栄っ張りだから、ブランド物ばっか買うしさぁ…」

何十回、何百回と聞いているヒデの答え。

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