心の距離
…お前は引っ込んでろよ…

初対面の時から苦手意識のあった鈴木。

少し苛立ちながら店内をふらつき、彼女を探している自分がいた。

店内の何処を探しても見付からない彼女。

渋々、鈴木に景品交換して貰い、交換所に向かおうとすると、景品交換所の斜向かいにある建物の出入り口から、扉を背中で押さえながら、彼女が大きな段ボールを抱えて現れた。

慌てて扉を押さえに行こうとしたが、彼女は慣れた感じで扉から離れ、颯爽と店内に戻って行った。

…何でだ?すげぇ気になる。ただ、似てる人を夢で見ただけだろ?彼女じゃねぇだろ?…

自分に言い聞かせながら景品交換所に向かい、ため息をつきながら帰宅した。

これ以上彼女の事を気に止めたくない。

もう彼女の夢は見たくない。

そう思う度に夢に出て来る彼女と、楽しそうに話をしている自分。

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