心の距離
本音
ため息ばかりの時間が過ぎ、来てしまった月曜。

事務所に入っても、彼女が逃げ出す事も無く、報告書も手渡す以前と同じ日々。

彼女の行動は以前と変わらないが、彼女と離れる日は確実に近付き、ヒデの顔を見る度に頭痛が起きる始末。

心の雲を隠したまま、無理矢理笑顔を作り、彼女と話す日々が過ぎ、来てしまったお盆休み。

お盆休み中は新しい家にずっと居た。

母親には『家賃払ってるのに、住まないともったいないから、お盆中はあっちに住む』と言ったが、本当は違う。

彼女が近くに居ないなら、実家に居ても意味が無い。

彼女会えない事よりも、ヒデと顔を合わせる事の方が辛かった。

仕事も何も無い一人暮らしをしてみても、ただ退屈なばかり。

退屈凌ぎに早起きをし、久し振りに朝日を見に行った。

暖かい朝日を眺めていると、彼女が隣りに居るような気分になれた。

…この朝日を見ながらなら、本音が言えそう。最後になるけど、戻ったら誘い出してみよう…

昇りきった朝日を眺めながら、ふと頭に過ぎった思い。

休み中は、毎日朝日を眺め、朝日を眺める度に、思いは決意に変わって行った。
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