心の距離
「冗談だって！怒らないでよ！ことちゃん！」

笑顔で彼女に告げる島崎さん。

「ひろちゃんは当たり屋じゃ無いです！凄く良い子なんです！」

怒りが収まらないように島崎さんに怒鳴りつける彼女。

彼女が何処から話を聞いていたのはわからない。

どさくさに紛れて誤解が解けたかもしれない事に、少しだけ胸を撫で下ろした。

「じゃあ始めようか」

社長が切り出し、始まったミーティング。

ミーティングの内容は、次の３ヶ月間のスケジュールと班決め。

主に話をするのは、社長と現場監督を勤める春樹さんと、島崎さんと、山根さんと新庄さんの５人。

いつもはこの５人でミーティングをしているのに、何故か招集された僕とヒデと洋介。

素朴な疑問が浮かび上がったが、本来なら休みの日に、彼女と会えた事が素直に嬉しかった。

「次の３ヶ月はヒデと洋介が北関東で、瞬はこっちな。後、３人に話があるんだけど、茨城の会社と合併する事になったんだ。向こうの人材が少なくて、一人で良いから来て欲しいみたいなんだよ。いろいろ考えたんだけど、決められなくてな…来年の春、誰が行くかは３人で決めてくれ」
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